連載シリーズ第2回「BRCA遺伝子と乳がん・卵巣がんの関係」
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- 5 日前
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前回の記事では、「遺伝性がん」とは何か、そしてそれを知ることの大切さについてお話ししました。今回は、その中でも特によく知られている 「BRCA(ビーアールシーエー)遺伝子」 について取り上げます。
💡 BRCA遺伝子とは?
BRCA1とBRCA2は、体の中で「DNAの修復」を助ける遺伝子です。私たちの細胞は毎日少しずつダメージを受けますが、この修復機能によって正常な状態を保っています。しかし、このBRCA遺伝子に生まれつき変化(=変異)があると、DNAの修復がうまく働かず、がんのリスクが高くなることがあります。
特に女性の場合、
乳がん
卵巣がん
のリスクが通常より高くなることが知られています。
📊 どのくらいリスクが上がるの?
研究によると、BRCA1またはBRCA2に変異を持つ女性では、
一生のうちに乳がんを発症するリスクが約60〜80%
卵巣がんを発症するリスクが約20〜40%
と報告されています(一般の女性のリスクは乳がん約12%、卵巣がん約1〜2%程度)。また、男性でもBRCA変異を持つ場合、前立腺がんや膵臓がんなどのリスクがやや高くなることが分かっています。
🔬 検査とカウンセリング
もしご家族に乳がんや卵巣がんを若くして発症した方がいる場合、医師や遺伝カウンセラーに相談し、BRCA遺伝子検査を受けることができます。
アメリカでは多くの保険で検査がカバーされており、日本でも2018年から「HBOC(遺伝性乳がん・卵巣がん症候群)」として保険適用が始まりました。
検査の結果、遺伝子変異が見つかった場合には、
より頻繁な検診(MRI・超音波など)
予防的手術の検討
家族への情報共有とサポートなど、「早く知ることでできる対策」が取れるようになります。
💬 FLAT・ふらっとからのメッセージ
「遺伝子に変化がある」と聞くと、不安に感じる方も多いかもしれません。でも、遺伝子検査は“未来を決める”ものではなく、選択肢を広げるためのツールです。
早く知ることで、がんを防ぎ、早く見つけ、命を守ることができます。次回は、リンチ症候群とは? をテーマに、もう少し詳しくお話ししていきます。FLAT・ふらっとでは、在米日本人の方が安心して遺伝性がんについて学べるよう、今後も情報を発信していきます。




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