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連載シリーズ第1回「遺伝性がんって何?」

  • 執筆者の写真: FLATふらっと
    FLATふらっと
  • 6 日前
  • 読了時間: 2分


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私たちが「がん」と聞くと、多くの場合は生活習慣や年齢などが関係していると考えます。実際、がんの多くは 偶然に起こる遺伝子の変化(後天的変異) によって発症します。しかし、全てのがんがそうとは限りません。なかには、生まれつき持っている遺伝子の変化 によって、がんにかかりやすくなる体質を持つ方もいます。これを 「遺伝性がん」 と呼びます。そんな遺伝性がんについてこれから連載をしていきたいと思います。まずは第1回目「遺伝がんって何?」です。


🌿 遺伝性がんとは?

遺伝性がんは、親から子へと受け継がれた遺伝子の変化(変異)によって、がんのリスクが高くなるタイプのがんです。たとえば次のようなものがあります。

  • 遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC):BRCA1、BRCA2という遺伝子の変化によってリスクが上昇します。昔、ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんがこの遺伝子変異を持ち、がんの発症予防の為、乳腺、卵巣を摘出したことが話題になりました。

  • リンチ症候群:大腸がんや子宮体がんなどのリスクが高くなる遺伝性疾患です。

  • 家族性大腸腺腫症(FAP):若い年齢から大腸に多数のポリープができることが特徴です。


ここに挙げた以外にも遺伝性のがんはあり全てのがん患者さんのうち、約5〜10% はこのような「遺伝性の要因」が関係しているといわれています。


🔍 なぜ「知る」ことが大切なの?

もし自分や家族が遺伝性がんの可能性を持っている場合、

  • 早期に検診を始める

  • 適切な予防法(生活習慣・手術など)を検討する

  • 家族にもリスクを伝え、ケアの選択肢を広げる

といった形で、将来の健康を守る行動につなげることができます。

アメリカでは遺伝カウンセリングが医療制度の中で整っており、専門家と一緒に検査や対策を検討することができます。日本でも、最近では変異遺伝子を引き継いでいるかどうかをテストする検査が保険適用でできるケースが増えています。


🧭 アメリカでの検査を受けたい場合

在米日本人の方でも、家庭医(Primary Care Physician)や婦人科医、がん専門医 に相談すれば、遺伝カウンセリングや検査の紹介を受けることができます。一部の保険プランでは、家族歴に応じて検査がカバーされる場合もあります。


がんに「遺伝」という言葉がつくと、怖い・不安という気持ちが先に立つかもしれません。けれども、「知ること」は「防ぐこと」や「備えること」につながります。次回は、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)とは? をテーマに、もう少し詳しくお話ししていきます。

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