The 12th Annual US–Japan Conference に参加
- FLATふらっと
- 4 日前
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日本大使館、AMED共催のthe 12th Annual US–Japan Conference に参加しました。
9月5日、ワシントンD.C.の日本大使館旧大使公邸にて、日本大使館と日本医療研究開発機構(AMED)が共催する 第12回 日米オンコロジーカンファレンス the 12th Annual US–Japan Conference が開催され、FLAT・ふらっとメンバーも参加しました。
この会議は、アメリカ国立がん研究所(NCI)や米国・日本の大学・研究機関から研究者が集まるカンファレンスで、毎年様々なテーマで開催されます。今年のテーマは「AIを活用したがん研究」。日米のトップ研究者・臨床医・企業関係者が集まり、最前線の知見が紹介され、活発な議論が交わされました。会の中心には、武部尚子先生(オクラホマ大学ステファンソンがんセンター)がいらっしゃり、先生はこの国際カンファレンスを12年にわたり継続して主催されています。
今回の会議では、FLAT・ふらっとアドバイザーでもある 白井啓介先生(ダートマスがんセンター) と 藤井健夫先生(米国国立がん研究所) がモデレーターとして大活躍され、講演者と参加者の議論をリードしてくださいました。
午前の部
午前中は、Otis Brawley 教授(ジョンズ・ホプキンス大学) が講演を行いました。
教授は米国のがん死亡率に見られる大きな格差を、具体的なデータで示しました。高校卒と大学卒で乳がん死亡率に2倍近い差がみられたデータや州ごとの死亡率が違うデータを紹介し、教育や地域、社会的背景が人々の健康に直結することを強調しました。さらに、米国では検診に偏重され予防やリスク低減が十分に重視されない傾向を指摘し、「健康格差を縮めるには、生活習慣の改善や社会的決定要因への働きかけが不可欠」と訴えました。
そして教授は、これらの課題解決にとどまらず、評価(リスク評価や格差の把握)、診断、予防、そして介入のすべての段階でAIが重要な役割を果たすことを強調しました。AIは単なる研究ツールではなく、ヘルスケア全体を支える基盤技術であると位置づけられていました。
午後の部
午後は、複数の登壇者がお話しされました。
Jeff Luber氏 (Clarity)
乳がんのマンモグラフィーに特化したAI画像解析技術を紹介。膨大なデータを活用して診断を支援し、臨床現場の効率化や診断精度の向上につながる可能性を示しました。
山下力也 博士(ArteraAI)
病理画像やゲノム解析における機械学習応用を解説。放射線治療の効果予測や前立腺がん臨床での応用事例を紹介しました。
Eytan Ruppin 博士(NCI)
がんゲノムと免疫データを統合解析することで、新しい治療標的や予測アルゴリズムが見つかりつつあることを報告されました。
山本靖 氏(京都大学)
多くのベンチャー企業の勤務経験から、最先端の AI・IT・ロボティクス技術 を現場で見てきた立場から登壇。これまでの歩みと新技術を紹介されました。
西田惇 博士(メリーランド大学)
数理モデルとAIを組み合わせたシステム生物学的アプローチを発表し、基礎研究成果を臨床応用へつなげる道筋を提示されました。全体を通して、午前・午後を問わず「AIをいかに活用して、がん研究と医療を進めていくか」が共通テーマでした。
おわりに
この会は、研究者や専門家だけでなく一般の方にも開放されています。分野を越えて全米各地から研究者が集まり、さらに日本では直接会うことが難しい先生方とも交流できる、非常に貴重な機会です。
「アメリカにいるからこそ出会える人と話せる」——そんな特別な出会いがある場でした。
来年は、ぜひFLAT・ふらっとのみなさんと一緒に駆けつけたいですね!
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