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がん免疫療法の効果を予測する新たな鍵?—PPP2R1A 遺伝子変異の発見

  • 執筆者の写真: FLATふらっと
    FLATふらっと
  • 8月25日
  • 読了時間: 2分

更新日:8月27日


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最近の研究(Nature 2025年7月号)によると、免疫チェックポイント阻害薬(ICB)治療を受けた患者の中で、「PPP2R1A」遺伝子に機能喪失の変異を持つ腫瘍では、全生存期間(OS)や無増悪生存期間(PFS)が有意に長くなることが明らかになりました。この研究にはFLAT・ふらっとの婦人科がんサポートのアドバイザーをしていただいている矢野光剛先生も著者として参加されております。


何がそんなに特別なのか?

  • これまで進行性や再発卵巣がんに対して免疫チェックポイント阻害薬(ICB)治療はあまり効果的ではありませんでした。

  • しかし、卵巣明細胞がん(OCCC)の患者を中心とした臨床試験で、PPP2R1A変異群は対照群に比べて、OSが66.9か月 vs 9.2か月という大きな差が観察されました。

  • つまり、PPP2R1A変異を調べることでICBが効果的であるかどうかの判別ができるかもしれないのです。


広がる意義と展望

  • OCCC以外の癌種(例:非小細胞肺がんやメラノーマ)でも、PPP2R1A変異をもつ腫瘍ではICB治療の効果が高い傾向が確認されています。

  • さらに、PP2A(プロテインホスファターゼ 2A)を化学的に阻害する薬(例:LIXTE社のLB-100)が、PPP2R1A変異と同様の免疫応答を誘導し、ICBと併用すると効果が高まる可能性がある点も注目されています。


FLAT・ふらっとからのメッセージ

この発見は個別化医療における大きな前進です。PPP2R1A遺伝子変異は、ICB治療を選ぶ目安となるバイオマーカーとして、今後の治療戦略に革新をもたらす可能性があります。誰もが同じ治療効果を得られるわけではありませんが、がんの遺伝子プロファイルを調べることで、より適切で効果的な治療に結びつけられる時代が近づいています。


FLATでは、こうした最新のがん研究情報を、日本語でわかりやすくお届けしつつ、患者さんやご家族のご相談にも対応しています。ご希望の方はいつでもお気軽にご連絡くださいね。



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