2025年ノーベル医学生理学賞「末梢免疫寛容に関する発見」
- FLATふらっと
- 12 分前
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2025年のノーベル医学生理学賞はMary E. Brunkow博士, Fred Ramsdell博士、そして坂口志文博士に送られることが発表されました。
🥇受賞理由
これまで、免疫系は「何を攻撃すべきか/何を守るべきか」を判断することが極めて繊細なバランスで維持されてきました。今回の研究では、特に 制御性T細胞(regulatory T cells, Tregs) がその鍵を握る「免疫のストッパー(ブレーキ役)」として働くことが示されています。つまり、免疫が過剰反応して自分自身を攻撃してしまわないように抑えるメカニズムを理解する非常に重要な成果です。この発見により、自己免疫疾患やがんに対するより良い治療、そして幹細胞移植の後の重篤な合併症の予防へと新たな希望が導かれたのです。
🔬 がん治療との関わり:可能性と課題
この発見は、がん治療においても大きな意味を持ちえます。なぜなら、がん細胞は宿主の免疫から逃れるために「制御性T細胞」を逆手に利用することがあり、免疫を抑制する環境を作り出すことがあるからです。研究者たちは、Tregs の制御・操作を通じて、がんに対する免疫応答を高める戦略を模索しています。
具体的には、Tregs の働きを弱めたり、がん局所での抑制を解除したりすることで、がんを免疫系が攻撃できるようにする「免疫療法強化法」の開発が期待されています。現在、免疫チェックポイント阻害薬(たとえば PD-1/PD-L1 抑制薬など)が一定の成功を収めていますが、それでも効果が出にくいがん種や耐性が生じるケースがあります。今回のノーベル賞研究は、そのような限界を克服するヒントとなる可能性があります。
🏥 FLAT・ふらっとからのメッセージ
このノーベル賞は、自己免疫疾患やがんなどの疾患に対する 「免疫のブレーキを理解し、制御する」 という観点からの新しい治療アプローチを示唆しています。すぐには実用化されないかもしれませんが、将来のがん治療の方向性を感じさせる重要な一歩です。
ふらっとでは、こうした最先端の医療研究や治療展望を、できるだけわかりやすくお伝えしていきたいと思います。皆さまの疑問や関心があれば、ぜひご意見・ご質問をお寄せください。
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